一見すると一部の紳士向けゲームと勘違いしてしまう、
メトロイドヴァニア+弾幕避けゲーの、
ラビリビが面白かったのでレビューを書きました。
PCとPS4、Nintendo Switchで遊ぶことが出来ます。
筆者はスイッチ版で遊びました。
単なる変態紳士向けのゲームじゃない
筆者が何の予備知識も持たずに、
スイッチ版のゲーム紹介文を読んだだけならば、
このゲームを買おうとはならなかったでしょう。
どちらかというと紳士的要素がメインのアクションゲームなんだろうな、
くらいにしか感じなかった気がします。
しかしかわいい見た目とは裏腹に、
硬派なメトロイドヴァニア+弾幕避けアクションというのが、
このゲームの正体です。
メトロイドヴァニアというのは、
広大なマップを徐々に範囲を広げながら探索していく、
アクションゲームの事。
この要素の部分だけをみても、
序盤から選べるルートの選択肢の多さや、
シーケンスブレイクと言われる、
標準的攻略ルートをスキップする手段の豊富さなどから、
かなり骨太な作品であると言えます。
そこにシューティングゲームではお馴染みの要素、
弾幕避けというシステムが合わさっています。
ボス戦では数えきれない弾が画面を飛び交い、
時には慎重に、時には大胆に身をかわし、
敵の攻撃の隙をついてハンマーなどで連続攻撃を加えるゲームなのです。
ビジュアルやストーリー面について
ごく普通のウサギだった主人公のエリナが、
気が付いたら人間の姿で見知らぬ土地に居た、
という意味が分からないところからお話が始まり、
とりあえず飼い主の元に帰るというのが最初の目的です。
実はというべきかストーリーはちゃんと作ってあるのですが、
なぜ人間になっていたのか、
そして住んでいた地に起こった事件の謎まで、
きちんと理解できるのは最後の最後です。
終始女の子同士のふわふわした会話で話が進み、
出てくるのは女の子ばかりで、
制作陣の強いこだわりを感じます。
初期のバージョンはテキストの翻訳の質に難があったようですが、
現在はほんわかとした雰囲気が出せていて、
違和感がないだけでなく、
可愛らしさと温かみのあるいいものになっています。
最初に目立ちがちな紳士的要素はというと、
もちろん人によってはそこも大きな魅力の1つではあります。
ただしそっちは「可愛い」に収まるレベルのものであり、
女性がやっても眉をひそめるようなことには多分ならないと思います。
ボイスも付いていないので、
けしからん声が響き渡ったりもしません。
ご家族が見ている居間でやれるかというと微妙なところですが、
まぁイベントシーンで突っ込まれたりするかもしれない程度です。
このジャンルはダークソウル系の陰鬱な雰囲気のゲームが多い中で、
貴重な可愛いグラフィックの良質メトロイドヴァニアと言えます。
BGMも耳に残る良いものが多いなと感じました。
アクションの操作面について
エリナはゲーム開始後すぐにハンマーを手に入れて、
それを振り回して戦います。
ただし入手したばかりの頃は、
すぐに多彩なアクションが繰り出せるわけではありません。
空中でハンマーが振れないレベルです。
しかしハンマーで殴るという単純な攻撃が気持ちよくなるように、
工夫がされていると思います。
殴った時の感触や効果音が小気味よく、
一部の攻撃モーションにはヒットストップという、
攻撃の手応えを表す為の一瞬の停止の演出があったりします。
シューティングゲームの要素が混じっているだけあって、
序盤から使えるようになる魔法による遠距離射撃も、
撃っていて楽しいです。
ゲームが進むにつれてスライディングや2段ジャンプなどが解禁され、
そこから派生するかなりアクロバティックな動きも可能になっていき、
動かす楽しさが増していきます。
ボス戦で激しい弾幕を避けるのに最初は苦労しますが、
何回か再戦するうちに何となく避け方が分かってきて、
完璧に避けられなくても多少ゴリ押しで何とかなる感じ。
どうしても避けられない、避け方が分からない攻撃には、
序盤で手に入る一瞬無敵になれるお守りを使って対処できます。
無制限に連発は出来ませんが時間と共に再使用が可能になります。
またお守りは使用時に相手を怯ませる高い効果があり、
攻撃継続の為に使うのも有用なアイテムです。
重要な点として、エリナの体全体が敵や弾に触れたらダメなわけではなく、
首にある見えない小さな菱形のポイントのみが当たり判定だということ。
これはボス戦開始時に数秒表示される他、
ハンマー攻撃のボタンを押しっぱなしたまま動くと確認できます。
途中から使えるスライディング時のみポイントがお腹の辺りに下がりますが、
これもボス戦開始時にスライディングすると確認できます。
難易度は最初は4種類から選んで開始でき、
カジュアル、ノービス、ノーマル、ハードの順に難しくなります。
初めてラビリビやるならノービスがいいよ、
という説明に逆らって筆者は変なプライドでノーマルで始めましたが、
ノーマルで既に容赦のない弾幕量で難しいと感じました。
ゲーム中の序盤のある場所で難易度の変更は可能になっているので、
難しいと感じたら下げることは出来ます。
ノーマル以下はミスが続くと、
任意で防御力アップの効果をかけてリトライが可能です。
それとは別に回復アイテムも持ち込めるので、
弾幕を全て避けきるような腕前が無くても遊べます。
ハードより上の難易度も用意されています。
マップの探索が楽しい
最初の方にも書きましたが、
このゲームはマップの攻略ルートがあまりきっちり決められていません。
このあたりでイベントが起こるよ、
というナビゲーションは表示されますが、
あえて全然違う場所から探索しても何かしらの発見があることが多く、
ボスを倒す順番もアイテムを取る順番もかなり自由があります。
なのでマップを探索するのが楽しかったです。
ここはボムやハンマー、射撃で壊せそうだな……みたいな怪しい場所は、
大体よく調べると何かあることが多いです。
特定の攻撃方法でしか壊せない壁ばかりなのは、
見落としが起きやすい注意しないといけないところ。
他に類を見ないやりこみ要素
やりこみ要素として設定された目標実績の数が途方もなく、
全部やろうとすると100時間以上は軽くかかりそうな感じです。
そもそも普通にマップを100%埋めるのと、
アイテムを全て入手するのも、
Wikiに頼らないと難しいなと感じました。
筆者はゲームを最後までやった時点で両方9割くらいでしたし、
通常のアイテムとは別枠のコレクション要素が強い、
イースターエッグというアイテムに関しては半分がやっと。
マップやアイテム関連以外の実績も驚くようなものが多く、
タイムアタックは当たり前、
特定ボスをノーダメージで倒してみろとか、
アイテムを取らずにクリアしてみろなんてのもあります。
何周ものプレイが前提となっているので、
取り返しがつかない要素という概念もない感じです。
特定条件でボスとの再戦も可能な他、
ボスだけを連戦するモードも用意されています。
ゲームのクオリティが高く、
他に似通ったゲームも思いつかないオリジナリティがある為、
ハマる人はものすごくハマるゲームだと思います。
そういった方々には、
この豊富なやりこみ要素はうってつけなのかもしれません。
不満点
1つ目は操作やシステム面での微妙な説明不足が多いかなと感じた点です。
例えば操作キャラの当たり判定について文章での説明がなく、
ボス戦開始時にビックリマークで示されても、
筆者はこれが当たり判定だと気付くのに時間がかかりました。
シューティングゲームをやり慣れていれば、
ごく当たり前の事なのかもしれませんが……
スライディングした時は首ではなくお腹辺りに当たり判定が下がるのも、
攻略情報を見なければ自分で気が付くしかないことです。
アイテムやバッジなどの効果に隠し効果が多かったり、
隠しコマンドによるアクションが多かったりもします。
操作や仕様がはっきりせずに隠されているのは、
好みにもよる一長一短の部分だと思います。
2つ目は探索可能な範囲を大方調べつくしたゲームのかなり終盤、
探索を楽しむという点では終わりが見えてきた頃に、
急にトゲ壁トゲ床トゲ天井やレーザートラップが増えてくる所。
回避のために求められるジャンプや壁キックの位置やタイミングも、
かなりシビアです。
お守りなどを使ってゴリ押すことは出来るものの、
あまりにも多いので少しうんざりする場面があったのも事実です。
まとめ
良質なメトロイドヴァニアに弾幕避け要素が融合した、
個性的なゲームです。
弾幕避けシューティングゲームも好きな人には特におすすめ出来ます。
記事を書くにあたってスチームのレビュー欄などもかなり読ませて頂きましたが、
このゲームのプレイ時間がものすごい人も結構いたのが印象的でした。
余談ですが、ラビリビが楽しめた人は、
同じ開発会社のメトロイドヴァニア、「TEVI」もオススメ。