イラストの絵柄が古い。
中年絵描きはこの言葉、言われて悩む人も多いんじゃないでしょうか。SNSでちらほら見た記憶があります。新しい絵柄、今どきの絵柄、流行りの絵柄って何でしょう。
どうしたらいいかを考えて好きなことを書いていこうと思うよ。ちょっと厳しめなことも書いたけど、特定の誰かを攻撃する意図はないです。
ちなみに僕自身は自分の絵柄を古いとも流行りに近いとも思わないし、他人から古いと言われても全然OKです。さらに言うと自分の絵が大好きで、ここよく描けたなぁとか、ここはこうした方が良かったなとか、30分とか1時間とか平気で眺めてたりします。
「絵柄が古い」とはどういうことなのか
まず、絵柄が古いと言われる要因を、当たり前だと言われそうなところから改めて考えていきましょう。
私が思うに、その人の絵柄というのは、過去に好きだった漫画やアニメ、イラストに倣って絵を練習してきて、自然と画風が似てきて形成されるものだということです。小さなころからの、好きだったそれらの模写などから絵描き人生が始まっていることが多いので、お手本となった画風が時が経つにつれて昔のものになっていき、結果として「古い」といわれてしまうわけです。自分が積み上げてきたものの性質の基礎や土台を、ガラッと変えることは簡単ではないので、だから中年より上にこの悩みをもつ人が多いのでしょう。
逆に「流行りの絵柄」や「新しい絵柄」とはどんなものなのか考えてみましょう。
例えば漫画なら、絵もそれなりに良いけど特に物語の面白さ、それで伸びた漫画があったとして、その漫画の画風に流行りの傾向が寄ってきたりすると思うのです。同じように作画、演出、物語も良くて伸びたアニメがあったとして、やはり流行りの傾向がそのアニメの絵柄に引っ張られる気がします。作る側も見る側もです。もちろん卵と鶏の話のように、絵柄が流行っているものだからウケた、という作品もあると思いますし、そういったものは流行りの要素を濃く、強くしていく結果を生むでしょう。
僕が好きな漫画で話をするなら、ドラゴンボールの全盛期は鳥山明先生のような絵柄が多くなるし、幽遊白書が人気になってくると、鬼滅の刃が人気になってくると、流行りの絵柄にその要素がプラスされます。そうやって少しずつ形を変えて、今現在の「流行りの絵柄」が作られていくのではないでしょうか。ちなみに例えがジャンプ漫画ばっかりなのは筆者が比較的ジャンプばっかり読んでたからです。
さらにプラスされる要素はイラストに限った話ではなく、現実で流行のファッションや美的感覚、世の中の雰囲気なども密接に関わっていると思います。意図的に流行を作り出したい人々の思惑や、一度実績を残した人の、次の鶴の一声で微妙に変わる要素などもあるかもしれません。
今の流行のてっぺんにいる人、組織などは、なるべく自分たちが長く上で居たいと考えた場合、次はこれがいいですね、次はこれが来ますね、今少しずつ流行りだしたこれを見逃すな!こういうのはダメです、こうあるべき、これがカッコいい!憧れのあの人と同じ〇〇!みたいな操作が出来たら最高ですよね。
そして今現在の人々の多数にウケている絵柄が、流行りの絵柄とされるわけです。「今人気の〇〇っぽい絵柄」が古くない絵柄なんだと思います。
さらに消費者は「ウケている〇〇の要素を持った〇〇」とかも好きです。飽きられるまではどんなサービスも、二番煎じや三番煎じが生まれ、もうええわとなった頃に真新しい力のある何かが出てきて、それも同じように擦られて飽きられてと繰り返されるわけです。時には昔流行った何かが、懐かしさや、それに新しく触れる世代が増えてきて再び人気になったりもありますね。
そんでどうしたらええんや
まずあなたは、絵柄が古いと言われたから、自分の絵柄を変えたいのでしょうか?
今の自分の絵柄が好きではないのですか?自分の表現したい絵柄でイラストを描いているのではないのですか?好きで描いているのなら悩む必要はないと思います。今の絵柄のまま周囲の評価を上げたいというのでしたら、基礎の技術をさらに上げつつ、漫画などなら物語の内容、一枚絵なら絵柄とは別の表現力、テーマ選びなど、違った方向からも頑張るしかないでしょう。
今の自分の絵柄は好きだけど、商業的に成功する確率を上げたい、または単純に注目を浴びたい、褒められたいので流行りの絵柄に変えたい、ということでしたら、話は分かります。そして、これの解決方法は、言うだけなら簡単です。
今流行っている漫画やアニメ、イラストの模写をするなどして、自分の絵に取り入れたらいいだけですよね。キャラだけでも数えきれない要素がいっぱいあります。顔のパーツや手足の大きさのバランスとか、ハイライトの入れ方、キャラの頭身などなど。色の塗り方とかも考えたらもっともっと。一つの作品だけをひたすら参考にしてもいいですし、〇〇みたいな絵だね、って言われるのが嫌だったら、複数の流行りの作品を参考にしてもいいでしょう。実際に今と昔で絵の雰囲気がガラッと違う作家さんはいらっしゃいます。
また同じことを述べますが、対策は上記の通り、言うだけなら簡単なんです。
で、ここからちょっと手厳しいことを書きます。あくまでも私の主観です。
絵柄が古いと悩んでいらっしゃる人の絵を拝見すると少なくないのが、はっきり言って古い以前に、「技術的にもまだ全然足りてない」と感じる絵の人が多いです。もちろん私だってそんなことが言えるほど上手くないかもしれませんが、上手い人は色々な画風に寄せて絵柄を変えられたりするので、自分が思う流行りの絵柄にしたくても出来ないということは、まだ基礎的な練習、流行りの絵柄の観察と模写が足りてないということだとも思うのです。流行りの絵の何が流行っている要素なのか、見定める力がない場合もあるでしょう。
絵柄が古いから魅力がないんじゃなくて、そういわれて対応、必要な部分を変化させる技術が拙い、まだ足りないから魅力がないんだと思います。色々な要素がまだ洗練されてない人が多いというか。
あとは、我が道を行く、個性全開の絵柄でしかも一次創作、さらに上手いときて、それで私などから見たら他人の評価も反応も上々だと思うのに、納得いってない感じの人もたまに見かけますね。で、全力で今の流行りに迎合してしかも滅茶苦茶上手な人と比べて落ち込んでる感じの人。そこと比べたら、そりゃよくないだろみたいな。
また、絵柄が古いと言ってくる側の好みが偏っていたり、癖や個性が強いものに厳しい場合だってあります。昭和、平成など年代で絵柄の傾向とかはあると思いますが、自分たちの時代や好みに合わないだけなのを「古い」と吐き捨てているだけだったりとか。短くて楽に言えるし。慣れ親しんだもの、多く触れてきたものが好きなのが人間だし。批判したら自分のが上みたいで気持ちが良くなる奴も多いし。
イラストを見る側は、絵を描ける人ばかりではなく、むしろ見るのが好きなだけという人の方が多いでしょう。そもそも人間の性質の話として、同じものをみんなで良いと共感しあうのが好きだったりそれを確かめて安心したり、右に倣えが好きだったり、マイノリティに厳しかったり、それを大勢で批判して一致団結が楽しかったりすると思うんです。この人がいいって言ってるからいいっていう、他人の評価を見て自分の評価を決める人も多いと思います。
上の記事でも似たようなことを書きましたが、多くの人は、絵の良しあしの基準が単純だったり、絵の技術的な上手さ以外に影響されるところも大きいと思うのです。親しい友達が描いた絵だから素敵。たった30分で描いた絵だから凄い。絵を描き始めて2か月でこれだから上手い。小さな子供が描いた素晴らしい絵。ある程度描ける人ですらそうでしょう。
他人から絵が古いですねなんて言われたって無視して、自分が描きたい絵柄でひたすら技術を磨けばいいんです。描いて描いて描いて基礎から上手くなっていけば、画風変えて描いてみるかと思って変えることだって、それなりに時間はかかるかもしれませんが、ごちゃごちゃ悩んで行動が遅れた人よりはるかに短い時間で出来るでしょう。
なんだか当たり前かつ愚直、根性論ぽくなってしまいましたが、でもまぁ、絵柄が古いと言われて悩んでいる、と言われたらこう答えるよみたいな話でした。ブログで書くネタがねぇなーって思ってたところにSNSでたまたま見かけたこの話題、改めて考えてみたらおもしろかったです。
