背景を描くのも結構楽しいから描こうぜ!と、みんなにすすめるためのページ。記事タイトルの頭に、(私の適当な)がこっそり付いてる感じの、言いたいことをだらだら書いてるだけのページ。
背景は難しいけど難しくない
みなさんは背景と聞くと、どんなイメージが思い浮かびますか。もちろん背景がない絵がダメというつもりはありませんが、風景画が好きな人とかは多分、キャラ絵に背景も描いてあることの、良さを分かっていると思います。
一方で二次創作がメインの絵描きの方は、難しい、面倒くさい、キャラのおまけ、パースとかが分からない……そんな感じの印象を持っている人も多いかもしれません。
でも、そのキャラを印象付ける簡単な背景を付けるだけで、キャラ単体だけを描くよりも、何倍も魅力が伝わる場合があります。たとえキャラそのものを描く力がまだ拙かったとしても、背景込みのシチュエーション的な魅力で、結構いい感じに見えたりもすると思うんですね。
X(旧Twitter)とかだと、白背景にキャラどーーん!みたいなのも伸びると思うしカッコいいし、背景まで誰も見てないよという意見も分かりますが、あまり上手くない人にこそ、背景を描く楽しさも知ってほしいのです。
背景ってプロが描くようなのを想像したら難しいけど、小学生の絵みたいな背景でもいいと思うんです。そう考えたら難しくないです。割と簡単です。
一次創作者にはキャラも背景もいい感じに描く人がごまんといますが、二次創作者になると背景も描く人がガクーーーーっと減る印象です。絵を描く動機(好きなキャラを自分なりに描きたい)を考えれば当然ですが、キャラと背景の両方が見たい私のようなファンアート好きからすると、割と残念です。上手くなくていいから、もっと背景付きのFAが見たい。それに、偶にでも背景付きの絵を描くと、描かない人との差別化も図れます。
背景が上手い人は上手い人で結構多いのが、上手いんだけどただ写真を切って張ったような印象の画風で、おらっ!パースぅぅぅ!みたいなカチッとした絵に、キャラが描いてなかったり、居てもちょこんと小さく立ってるだけ、みたいな。それを批判するつもりは一切ないですし、背景の仕事が欲しくてそういう絵ばかり発表している人も多いと思います。
まぁ要するに私個人の好みの話をしていて、上手くなくても、多少雑でもいいから手描き感からくる温かみが好きだったり、一様にびっしり写実的なんじゃなくて、その人なりの見せたい部分の描きこみと、そうでない部分の省略でメリハリが欲しかったり、キャラを置くなら、それを通して絵に物語性とかが欲しいんですね。そんでキャラも背景も描いてあるファンアートが少ない気がするから、おまえら、もっと背景描こうぜ!描いてよ!描くの楽しくなるかもよ?ということが言いたいんです。
パース使わなくてもいいじゃん
はい。特に最初の頃に描くのは、パースを使わない背景でもいいと思うんです。(パースて何?ってひとは検索してください)実際にリアルで見たような感じの背景じゃなくていいというか。絵だし好きなように物を配置して嘘ついていいじゃんていう。背景付きの絵をネットにあげて、パースが狂ってるな……て予防線張るように自分で突っ込んでる人とか見たりしたけど、別に狂ってていいと思うんです。私はゆがんだ建物とかも好きです。パースが狂ってるwwwて言ってくるような奴はほぼいないし、それを見たまともな人に、残念だなと思われるのは大抵言ったやつなわけで。だから少しでも興味があったら描いてみてほしいんですね。お金貰ってちゃんとパース効かせろとか指定されたなら別ですけど。
もちろんパースの仕組みを一通り知っておくと、自分の思い通りの背景を描く助けには絶対なるので、嫌じゃなかったら勉強した方がいいです。あと人物にもパースは応用できるし。私も一応、仕組みだけは、かじった程度に知っています。
ただ私は、消失点を決めてそこから線を引いて云々……アイレベルをここに設定した方が自然で云々……みたいな、パースの正確さを最優先した絵を描くのがどうにも楽しくなくて、なので背景を描くとしても、好きなものを好きなように描いた背景ばかりです。そういう風に描きだしてから、背景を描くのが楽しくなりました。ちなみに私はパースが正確な絵を描けと言われても、描く実力がありません。楽しくなくてもきちんとしたパースの絵を描き続けていれば、製図みたいな作業をしなくても、きちんとしたパースが描けるようになりつつ楽しくなると思うので、そこはまぁ、我慢して練習した方が、描ける絵の幅は拡がるでしょう。

上の絵は、サガフロンティアというゲームのアセルスという女の子です。まわりの背景はファシナトゥールという、メルヘンで耽美な感じの場所で、事故から目を覚ますと突然知らない場所にいた、的な絵です。背景は「パース何それ美味いの?」的な感じで、角度も位置も無茶苦茶な物の配置です。こんなパース狂ってる絵ダメじゃん!と言われればそれも否定しません。でもこれ、このゲームが好きな人なら結構、プレイ当時に思いを馳せてくれるような絵になっていると思うんですよね。これで背景がなかったら、たいして上手くないアセルスが描いてあるだけなので、ファンアートとしての魅力がだいぶ減ると思います。ゲーム内の映像とかを参考にしながら、頭の中で好きな角度に変えて描いたのですが、細部とか間違っててもいいやん、という気楽な精神で楽しく描けました。

上の絵はドラゴンクエスト3の序盤、仲間が集まるルイーダの酒場という場所で、普段おどけた振る舞いの遊び人2人が、仕事前に落ち着いた表情でくつろいでいるシーンを想像して描いたものです。この絵もきちんとしたパースで描かれていません。室内は屋外より、ごまかして描くのが難しい印象がありますが、なんとなく酒場かな?という雰囲気が伝わればいいやくらいの気持ちで、中世の酒場やゲーム内の画像をおおざっぱに参考にしつつも、室内の形状も、各人物の大きさや高さなども、まったくの適当で描いてあります。でもまぁ当時にしては結構みなさんに反応がいただけたので、オフモードの遊び人と酒場というシチュエーションが面白く描けた、拙いなりの背景がそれなりに効果的だったと思われる例です。
抽象背景でもいいじゃん
抽象背景というのは、実際の風景とか物とかじゃない、シンプルな線とか形とか色の組み合わせで表現された背景です。よくわからん模様とか枠みたいなのとか。デカい四角に色付けて張っただけの、よく見るやつとかもコレ。

上の絵はタクティクスオウガというゲームのキャラ、ランスロット・タルタロスという騎士の絵です。背景になんか模様が描きたいなと思って、装飾的な感じで黄色でササーっと描きました。左上のマークは所属騎士団のエムブレムです。背景の赤、グレー、紫のグラデーションが少し怖い雰囲気を出しています。右腕は頑張って鎧を描きこんで、奥の左腕は手抜きも兼ねて薄めの単色でほぼ塗りつぶすことで、遠近感、立体感を出そうと思いました。ただキャラがまっすぐ立っているだけの絵ですが、適当でもいいからと思って描いた背景などの力もあって、結構いい感じに見えている気がします。
模様を適当に考えて描くのも結構楽しいんです。気が向くままに筆を走らせてぐしゃぐしゃーってやって、バランスを考えてところどころ消しゴムで削ったりとかして。
そんで出来れば、素材をペタっと張るんじゃなくて、自分で描いてほしいなと思うんですね。素材がダメって言ってるんじゃなくて、例えば素材を見て、似た模様を自分で考えて描いてみるとか。試行錯誤して描くと、絵をアドリブで描いて楽しむ力というか、そういうのがだんだん上がる気がするからです。
服の作りとか模様とか花とか額縁とか、形の元になりそうなものを時々は資料を探して調べて、なんか応用して自分で服のデザインとかを考えたり、そうすると抽象背景にも、似たような形が流用出来たり。風景とかの背景にも言えるんですけど、いつも素材をペタって張って済ましていると、楽しんで手癖で描ける範囲とか知識が広がっていかないので、いっつもずーーっと同じような絵を描いてる感じになっちゃうと思うんです。
自分が楽しいだけで満足してるとか、とりあえずSNSにあげただけ、というなら似た絵ばかりでもいいんですけど、そこからさらに何かしらの好反応が少しずつ増えて欲しいというなら、同じように少しずつ、前とは違う何かを吸収して表現できるようになっていきたいですよね。だって仲良くしてる知人友人だって、内心は「いつも同じような絵だな……」と思っても言えないし、それでもどう?て見せられたとしたら、毎回なんか感想ひねり出して言う必要があったりするわけで。
ちょっと背景の話から脱線しちゃったんですけど、写真や素材で簡単に済ますこともできる背景や模様を、なんでわざわざ自分で描くのかということが、まぁこういう話にも繋がってくるというか。
おすすめの本とか
私の好きな、背景のお仕事をメインにされている方が、吉田誠治先生という方です。YouTubeの、過去のイラスト添削ライブ配信を、よく拝見しています。これはいろいろな方が有料で添削希望を出したものを、希望者同意のもとで配信で添削するというもので、誰かがお金を出してくださったおかげで、有料級のアドバイスと添削が誰でも見られる神動画です。吉田先生がたまに変な声を上げたり、コメントに受け答えをしながら、添削されています。
添削後の落書き配信で、アドリブでササっと楽しそうに背景を描いておられるのですが、少しでもこうなれたら楽しいだろうなー、背景練習してみようかな、と思わせてくれます。実際添削でも、吉田先生の絵を見て背景を描き始めました、という方がちらほら居る感じです。私はこれをニンテンドースイッチを使ってテレビの大画面に映して、寝る時などに見ています。落ち着いた声色のためか睡眠導入としても非常に有用で、緩く背景を学びながらウトウト寝入ることができてとても良いです。
吉田先生の本は数種類出ていて、本屋に行くと結構見かけたりしました。私が買ったのはコレ。
パースについての話もそれなりに網羅されていますが、雲や森、水などの自然物から建物などの人工物まで、いろいろな物の描き方のヒントが幅広く書かれている感じです。サイズが大きすぎず丁度よくて見返しやすく、お手本に倣って描いてみようという気になる1冊です。絵を描くヒントがメインの本なので、吉田先生の作品が見たいというのが目的な人は、作品集などを買った方がいいと思います。